今回も東海大学チームのソーラーカーにAM造形品が採用されました。

東海大学ソーラーカーチームが2025年8月、オーストラリアで開催された世界最高峰のソーラーカーレース、Bridgestone World Solar Challenge 2025に出場しました。
この大会は2年に一度行われ、オーストラリア大陸約3,000kmを5日間かけて縦断する過酷なレースです。東海大学チームは、過去に2度の世界制覇を成し遂げ、数々の国内外大会でも優勝経験を持つ世界トップレベルのチームです。今大会でも見事3,000kmを完走し、総合第5位という素晴らしい成績を収められました。

レースは、オーストラリア北部のダーウィンをスタートし、強い日差しや30℃を超える気温、さらには突然の雨にもさらされながら走行を続け、終盤には10℃近くまで気温が下がる南部のアデレードを目指すため、車両と部品には幅広い環境への適応力と耐久力、信頼性が求められます。また、ソーラーカーは長距離を高速で走行するため、車体軽量化と空力性能の両立が重要で、日射や雨天、急激な気温変化、さらには路面からの振動や衝撃といった要因にも耐える必要があります。これらの条件を満たすため、弊社の ASPEX-FPA(ナイロン11) を用いて造形を行いました。

ASPEX-FPAは 100%ヒマシ由来の植物原料から生成されたナイロン11 です。
ナイロン12と同等の強度・弾性率を持ちながら、靭性・耐衝撃性に優れ、繰り返しの曲げ変形にも強く折れにくい特性を備えています。
また、低吸水性、高い耐熱性、耐摩耗性、耐屈曲疲労性、耐寒衝撃性、耐薬品性を兼ね備え、広い温度範囲で安定して使用できるため、ソーラーカーのように軽量性・柔軟性・耐環境性が同時に求められる用途に最適です。
さらに、この材料は環境負担の軽減にもつながる点から、持続可能な次世代モビリティ開発における材料としても注目されています。
今回のプロジェクトでは、短期間で複数形状を試作し、実際に車体に取り付けて検証を行い、その中から最適な形状をレースに採用いただきました。
金型を用いずに試作から最終製品製作まで進められる点がAM造形の大きな利点であり、スピード感ある設計・検証サイクルを実現しました。

過酷な3,000kmレースの中で、当社の技術が信頼性と性能を発揮できたことを大変光栄に思います。学生たちが世界の舞台で挑戦を重ねる姿勢に触れ、私たちも改めてものづくりの可能性を実感しました。
東海大学ソーラーカーチームの皆様に心より感謝申し上げるとともに、当社はこれからも挑戦を続けるチームの活動を引き続きサポートし、次回大会でのさらなる飛躍を期待しております。

※アスペクトのAM技術を用いた部品製作をご検討の企業様・大学様、ぜひお気軽にご相談ください。